日本大学医学部産婦人科学系 産婦人科学分野
生殖医療診療案内
不妊症について
妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしている場合、その80~85%が1年以内に妊娠するといわれています。一方で、1年間で妊娠に至らない場合、日本産科婦人科学会では不妊症と定義されています。
日本では不妊の検査や治療の経験がある夫婦は年々割合が増加しており、2015年の時点では夫婦全体の5.5組に1組が不妊の検査や治療を受けたことがあるとの報告がなされました。
不妊の原因は男性側、女性側それぞれ約半々といわれており、その原因の種類も多岐にわたります。お子さんを望んでもなかなか妊娠しない場合、その原因を明らかにし、原因に即した治療法をとるこが妊娠への近道となります。
当院での治療
当院では、まず不妊の原因を特定するために問診とスクリーニング検査を受けていただきます。
女性側は、採血や超音波検査、子宮卵管造影検査により、卵巣が正常に機能しているか、ホルモンの分泌は正常か、卵子がどれくらい残っているか、卵子や精子の通り道となる卵管が詰まっていないか、子宮に着床を妨げる原因がないかなどを調べます。
男性側は、精液の量や精液中の精子の数、濃度、運動性、形状などを検査します。これらの検査で問題が見つかれば、その原因の治療や問題を補う治療を行っていきます。また、治療が必要な男性不妊に関しては、専門医をご紹介いたします。
できるだけ自然妊娠を目指しますが、不妊の原因によっては人工授精、体外受精へのステップアップが必要となります。体外受精における誘発方法は患者様の卵巣やホルモン分泌の状況により最適なものを選択いたします。
女性は年齢を重ねるにつれ妊娠率が低下していき、一方で流産率は増加します。近年では男性の加齢も妊娠に影響するとの報告もされています。早期に治療を開始することが、お子さんを授かるための近道でもありますので、もし妊娠に関して不安がおありでしたら不妊期間に関わらず受診されることをお勧めいたします。
がん治療と生殖機能
がん治療に伴う化学療法や放射線療法によっては、卵巣や精巣の機能が大きく影響を受け、治療後に生殖能力を喪失する場合があります。近年、がん治療と妊孕性温存の両立を目指す「oncofertility(がん・生殖医療)」の重要性が広く認識されてきています。
がん治療を最優先としますが、その中で当院では患者様やご家族へ、がん治療の生殖機能への影響に関する情報の提供や、将来お子さんを持つための選択肢の一つとして妊孕性温存をご提案できればと考えています。
当院の取り組み
当院では悪性腫瘍の治療を予定されている方の、精子および未受精卵の凍結保存を行っています。化学療法や放射線療法により生殖機能の低下が予想される場合、治療前に精子や卵子を凍結保存しておくことで、将来妊娠できる能力を温存することができます。 (当院は、東京都若年がん患者等生殖機能温存治療費助成事業の指定医療機関です)
大学病院である当院には各科のエキスパートがそろっており、科をまたいでの綿密な連携が可能となっております。
合併症を抱えた方やハイリスク妊娠においても、安心して妊娠、出産していただけるよう各科でサポートいたします。
当院で可能な治療
不妊治療
不妊治療
不妊治療 がん生殖医療
・タイミング法
・人工授精
・体外受精/胚移植
・顕微授精
・胚凍結保存
・凍結胚移植
・未受精卵凍結保存
・精子凍結保存
体外受精胚移植法(顕微授精含む)の費用
不成功の場合、消耗品代として不成功だった技術代の40%を請求いたします
【例】
①卵胞を穿刺したが卵子が採取できなかった場合 → 42,000円
②採卵・体外受精をし、新鮮胚移植を行った場合 → 78,500+73,500+31,500=183,500円
③採卵・体外受精をし、胚凍結を行った場合 → 78,500+73,500+52,500=204,500円
④採卵・顕微授精をし、新鮮胚移植を行った場合 → 78,500+105,000+31,500=215,000円
⑤採卵・顕微授精をし、胚凍結を行った場合 → 78,500+105,000+52,500=236,000円
医学的適応における未授精卵子、精子凍結の費用
※卵子の個数が3の倍数を超えるごとに加算
(4~6個の場合 +15,000円、7~9個の場合 +30,000円)
別途、薬代・注射代・採血代などが自費でかかります